■第63回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第32回広大ACEセミナー)が開催されました
(English announcement can be found in the latter half of this notice.)
日時 2018年 4月 23日(月)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室
プログラム
解説 広島大学大学院工学研究科 教授 松村幸彦
講演 広島大学大学院工学研究科 M1 藤原 芳樹
「水熱条件下におけるカルシウムを用いたリンの回収」
リンは生命の活動に必須な元素ですが、近年リン資源の枯渇が懸念されています。そのため、新たなリン資源の獲得が必要であり、リンを多く含んでいる下水汚泥に注目が集まっており、処理方法として、有機物を短時間で分解できる水熱処理が期待されています。さらに、分解し、無機リンの状態になったリンにカルシウムを添加することによって、容易にリンを沈殿回収できる可能性があります。そこで、本研究では、カルシウムを用いてリンを水熱反応場から回収するため基礎的な検討を行うことを目的とします。
講演 広島大学大学院工学研究科 教授 松村幸彦
「MWCNTを用いたグルコースの水熱処理によるレブリン酸の生成」
レブリン酸は燃料添加剤やプラスチック原料などを合成する際の基幹物質として重要です。化石燃料の枯渇に伴い、草や木などの木質系バイオマスからレブリン酸を生成することが必要とされています。これまで、その生成過程において硫酸や塩酸などの強酸触媒を用いた処理方法が研究されてきましたが、それらの触媒は強酸かつ液体であることから廃液処理の工程や再利用性といった点に問題を抱えています。そこで,本研究では固体である多層カーボンナノチューブを触媒として用い、グルコースの水熱処理におけるレブリン酸の生成収率を確認しました。
講演 広島大学大学院工学研究科 D3 Apip AMRULLAH
1.「水熱処理中の下水汚泥構造の同定」
本研究では、水熱処理(HT)中の下水汚泥構造の実験的同定を示します。 下水汚泥の細胞構造を同定するために、HT温度を変化させました。 この研究では、活性汚泥を、130℃〜250℃の温度範囲で5MPaの固定圧力下で連続反応器を用いて水熱処理しました。 液体試料(非許容有機炭素、NPOC)および溶解した気体生成物(無機炭素、IC)中に存在する全炭素を定量するために、全有機炭素(TOC)分析器を用いて液体試料を分析しました。 固体試料を、ZEN顕微鏡2.3ブルー版を用いて、目的のLD A-Plan 40x / 0.55 Ph1および倍率40xで観察した。 180℃で細胞が壊れ始め、温度によりTOCが上昇したことが観察されました。
2.「下水汚泥の水熱処理における液相有機物の挙動」
熱水処理(HT)は、低エネルギー消費および燃料エネルギー密度の増加への貢献のために、有機廃棄物の前処理のための有望な選択肢です。 HTは、脱水のためのエネルギー効率的な方法としても採用されています。 本研究では、下水汚泥を130〜250℃の温度範囲で5MPaの一定圧力下で水熱条件下で管状反応器で処理し、液体および固体の最終生成物を分析しました。 本研究の目的は、下水汚泥の高温時における液相有機物の温度変化による挙動を調べることです。 全有機炭素は温度とともに増加しました。
司会 広島大学大学院工学研究科 博士研究員 Nattacha PAKSUNG