第89回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第73回広大ACEセミナー)を共催しました。

■第89回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第73回広大ACEセミナー)を共催しました。

 

日時 2020年11月5日(木)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

 

解説 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演  広島大学大学院先進理工系科学研究科 B4 鎌形文佳

「メタノールを用いた竹からのカリウムの除去率」 

竹は、成長速度が速く、燃焼の原料として期待されています。しかし、アルカリ金属含有量が高いため、その灰は低い温度で溶け、炉の円滑な運転を妨げます。竹を水で洗うとアルカリ金属を取り除くのに役立ちますが、得られる竹は水分含有量が高くなります。したがって、この研究では、乾燥工程の必要ない可燃性のメタノールを使用しました。目的は、メタノールを溶媒として使用した場合のカリウム除去率を決定することです。

 

 

講演 広島大学大学院工学研究科  M2 陳 百倫

「バイオマス微粉末の超臨界水ガス化」

 

超臨界水ガス化は、温度と圧力の両方が臨界点(647K、22.06MPa)を超える高温、高圧の水中でバイオマスをガス化します。 バイオマスは固体であり、気固または液固反応の観点から、粒子サイズの影響を考慮する必要があります。しかし、超臨界水中の固体バイオマスの挙動を予測するための十分な研究はありませんでした。この研究の目的は、固体粒子の超臨界水ガス化を実施して、粒子サイズ効果を決定することです。ステンレス管で作られた連続式反応器である実験室規模の反応器が採用されました。木質粒子と空果房の粒子を使用して、 さまざまな粒子サイズのサンプルを粉砕します。ガス化効率は粒度とともに低下することがわかり、超臨界水反応器にも気固反応や液固反応が存在するのと同様のメカニズムを示唆しています。

 

 

講演  広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦

「水熱液化排水に比較した超臨界水ガス化排水の藻の培養液としての優位性」

 

水熱液化や超臨界水ガス化のような藻の水熱処理は再生可能エネルギー生産システムとして注目を集めています。より進んだ再生可能性の実現ためには、これらのプロセス排水を藻の培養に用いることです。水熱プロセスの排水は藻に含まれていたカリウム、リン、窒素などの栄養分を含んでおあり、藻の培養に有効利用できます。  これまで、藻の水熱処理排水を藻の培養に利用するために、主に水熱液化の排水を利用して様々な研究がなされてきました。このときの問題点は、排水中の何らかの成分による藻の成長阻害でした。本研究では、異なる温度での超臨界水ガス化の排水を、通常の培地と混合して用いてみました。400 ℃の超臨界水排水は600 ℃のものより多くの不揮発性有機炭素を含んでいる以外は、ほかの栄養塩濃度はほぼ同じでした。しかしながら、藻の成長は600 ℃の排水の方が良好で、600 ℃における成長阻害物質の分解によるものと考えられました。

 

 

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科  M2 小林駿介

「好熱性ホモ酢酸菌Moorella thermoaceticaのエタノール生産株におけるH2による増殖阻害の機構解明」

 

我々は糖やCO2を基質として利用することができる微生物Moorella thermoaceticaを代謝改変することでエタノール発酵生産プロセスの構築を試みました。従来の糖発酵プロセスではCO2が排出されてしまいますが、M. thermoaceticaを利用した発酵生産プロセスではCO2も炭素源として利用することが可能となります。CO2利用はH2によるエネルギーを必要としますが、取得した株は想定外なことにH2により増殖が阻害されました。そこで、この阻害機構を検討しましたので報告します。

 

 

司会 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦