■第88回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第72回広大ACEセミナー)を共催しました。
日時 2020年10月5日(月)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室
プログラム
解説 広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦
講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M1 Sin Sokrethy
「カンボジアにおける農村発電プラントのためのバイオマス資源とする稲わらおよび籾殻」
カンボジアは人口の80%を稲作に依存している発展途上国である(国際協力機構(JICA)、2013年)。稲作農場からの毎年の廃棄物は、発電プラント設置の際の優れたバイオマス資源になると考えられる。本研究の目的は、残留物、稲わら、および籾殻の見積量を明らかにし、地理情報システム(GIS)に資源レベルを表示するために資源指標のインデックス(IIR)を使用することである。 もう1つの目的は、本研究対象地域である、ボンティアイミアンチェイ州、バッドムボン州、およびポーサット州における利用可能な資源による電力生産およびCO2排出量削減の可能性を明らかにすることである。
講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 準教授 Tran Dang Xuan
「メコン川下流域の農業及び漁業に対する本流における発電所の及ぼす影響」
本研究ではメコン川下流域の漁業、農業分野について議論し、カンボジア、ベトナム下流域の氾濫原に焦点を当てていく。メコン川下流域のダムの建設は、気候変動による損失よりも生物多様性と漁業面でより大きな損害を与える。カンボジアとベトナムでそれぞれ、漁獲量で276,847tと178,169tの減少、米の収穫量ではそれぞれ-3.7%と-2.3%、トウモロコシの生産量は-21.0%と-10.0%となり、これによりGDP成長率はカンボジアでは-3.7%、ベトナムでは-0.3%という結果になる。ラオスでは、予定されているダムの建設により、他のメコン川下流域諸国の中電力供給による利益が他のメコン川下流域諸国の中で最も大きいであろう。総漁獲高の減少が、ラオス、タイ、ベトナムでは3分の1にとどまる一方で、カンボジアは4分の3まで減少を強いられることになる。
講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 D3 Pattraporn Changsuwan
「超臨界水中におけるグアヤコールの変換に及ぼす異なる濃度の酢酸の添加効果」
有機ラジカルスカベンジャーである酢酸が、ラジカルスカベンジャーの濃度を変えることによる超臨界水ガス化におけるグアヤコールの変換に及ぼす影響を調べた。 グアヤコールと酢酸の混合物は、連続フロー反応器で、温度600℃、圧力25 MPa、グアヤコールの固定濃度0.5 wt%で実施した。 ラジカルスカベンジャーの濃度が低い場合、高分子量を形成するラジカル反応が減少したため、少量の固形生成物(チャーとタール)が生成された。 0.2重量%より高いラジカルスカベンジャーの濃度で固体生成物の量はゼロであったが、過剰量のラジカルスカベンジャーは中間化合物を形成し、ガス生成物に分解することを好む。 結果は、酢酸がラジカルによる高分子量構造の形成を阻害するため、酢酸がグアイアコールのガス化における固体形成を抑制するための重要なラジカル捕捉剤であることを示している。
司会 広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦