■第57回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第22回広大ACEセミナー)が開催されました
(English announcement can be found in the latter half of this notice.)
日時 2017年 10月 18日(水)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室
プログラム
解説 広島大学大学院工学研究科 教授 松村幸彦
講演 広島大学大学院先端物質科学研究科 M2 高垣 俊宏
「微生物燃料電池を用いた余剰汚泥分解と電力変換」
現在、一般排水の浄化には主に活性汚泥法が用いられています。活性汚泥法では細菌が有機物を代謝して増殖する結果、余剰汚泥が大量に発生します。余剰汚泥は約6割が高温炉で焼却され、建築材等にリサイクルされますが、焼却処分する際に発生する亜酸化窒素や焼却の助燃剤費が問題です。本研究では、追加的エネルギーが不要な微生物燃料電池(Microbial Fuel Cells, MFC)を用いて、余剰汚泥の分解処理、およびその電力変換の可能性の検証を試みました。
講演 広島大学工学研究科 B4 黒木 睦美
「キャピラリー菅を用いた水熱反応下でのグルコース分解の反応場質量分析」
近年、エネルギー需要の増加に伴い、化石燃料の枯渇や地球温暖化が深刻な課題となっています。これを解決するために、化石燃料の代替となる再生可能エネルギー源に注目が集まっています。その中でも有望視されているのがバイオマスで、特に、非可食部バイオマスから作られた第二世代バイオエタノールが注目されています。しかし、現段階では収率が低く実用化には至っていません。収率をあげるためには高性能の前処理による処理効率の改善が必要です。処理効率を改善するためには、短時間に高温で反応場に存在する他の化合物を検出することが重要です。本研究では、キャピラリー菅を用いて水熱条件下でそのような化合物を検出することができる反応場質量(in situ MS)分析システムを開発しています。質量分析に必要な真空圧力まで減圧させ、分析を行うことに成功しました。キャピラリー菅を長くすることにより、より高圧の状態での分析も可能になると考えています。
講演 広島大学工学研究科 B4 横山 裕生
「セルロースの酵素加水分解における5-HMFの影響」
近年,リグノセルロース系バイオマス原料からエタノールを得ることが注目を集めています。この技術の研究においての問題の一つに,熱水による前処理時に,発酵阻害物質である5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)が発生することが挙げられます。5-HMFの発酵における影響は多くの研究がありますが,酵素加水分解における影響は知られていません。そこで,本研究ではセルロース1 gに,5-HMFの量を0,0.1,0.2 gと変えて酵素加水分解を行いその影響を確認しました。その結果,酵素加水分解における5-HMFの量の影響は無いことが分かりました。
講演 広島大学大学院工学研究科 M1 橋本 壮侍
「水熱条件下におけるDNAの分解特性」
リンは植物を育てる際の肥料ですが,その形態は無機リンです。近年,下水汚泥から無機リンを回収する研究が行われており,水熱処理はその方法の一つとして提案されています。本研究では下水汚泥に含まれているとされる有機リンの一つであるDNAを試料として用い,その分解特性,および超臨界条件におけるガス化特性を調査しました。その結果,超臨界条件では分解が進行しますが,生成された無機リンが析出することが判明しました。
司会 広島大学大学院工学研究科 研究員 Nattacha PAKSUNG