第64回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第33回広大ACEセミナー)が開催されました

■第64回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第33回広大ACEセミナー)が開催されました

(English announcement can be found in the latter half of this notice.)

日時 2018年 5月 7日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

プログラム

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村幸彦

講演 広島大学大学院先端物質科学研究科   M1  伊地修平

「海洋性メタン発酵法による含塩有機廃棄物の処理検討」

メタン発酵法は、微生物を利用しエネルギー資源であるメタンを生産する技術です。現在、新バイオマスとして注目されてきている高塩有機物は、水分量が多くメタン発酵によるエネルギー回収が適していますが、塩分によってメタン発酵が阻害されます。当研究室ではそれらの有機物の処理に海洋底泥が有用であると見出しました。本研究では、高塩有機物への海洋底泥中微生物の適用可能性を検討しました。これにより、味噌などの高塩有機物でも問題なくメタン生成が行えました。

講演 広島大学大学院工学研究科     M2   市原 悠人

「水熱処理と触媒による藻類バイオマスの分解生成物」

藻類バイオマスは膨大な賦存量、カーボンニュートラル、貯蓄性があるバイオマスです。しかし水熱処理による藻類バイオマスの分解生成物はまだ解明されていません。そこで本研究では藻類バイオマスであるクロレラとスピルリナをオートクレーブと触媒を用いて水熱処理をしました。滞留時間は60分で固定し温度を200℃, 250℃, 300℃の三条件、触媒は触媒無し、硫酸、水酸化カリウムの三条件、計九条件で実験を行いました。回収サンプルのうちガスサンプルはガスクロマトグラフィー(GC)、液相は元素分析装置(CHNS)、固相は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察しました。水熱処理後、触媒のKOH、300℃においてどちらのバイオマスも最も細胞が破壊されていることが確認できました。

講演 広島大学大学院工学研究科    D2  Rahmat Iman MAINIL

「超臨界水中のレトロアルドール変換機構」

超臨界条件下でのモデル化合物としてのバイオマスの挙動に関する研究の大部分は、まだ未知の全有機炭素(TOC)が残っていると説明されている不明確なメカニズムを残しています。シンプルなモデル化合物としてのグリセルアルデヒドは、熱い圧縮水の下でのキシロースの分解において見出される主要生成物と考えられているレトロアルドール生成物の詳細なメカニズムを理解するために利用することができます。この研究では、グリセルアルデヒドを脱イオン水に溶解し、連続反応器内で350〜450℃の温度範囲で25MPaで加熱しました。液体流出物中のコンパンドを同定するために、高性能液体コモグラフィーを用いました。この研究で観察された中間体はレトロアルドール生成物(グリコールアルデヒド、ホルムアルデヒド、ジヒドロキシアセトンおよびアセトアルデヒド)でした。反応速度論は、すべての反応が一次であると仮定して決定しました。 Arreheniusの挙動は、反応をフリーラジカル反応(超臨界領域におけるアレニウス反応を示す)およびイオン反応(超臨界領域におけるアレニウス反応を示さない)として分類するために用いられました。

講演 広島大学大学院工学研究科     M1 横山 裕生

「ディスクミルを用いた水熱粉砕前処理時に発生する発酵阻害物質の特定と定量」

 今回の研究の目的は,水熱粉砕前処理時に得られる液相中に溶解していると考えられる発酵阻害物質の特定と定量です。今回の研究に使用した試料は初期粒径1.0-2.0, 2.0-2.8, 2.8-3.3, 3.3-4.0 mmのユーカリを130 ℃,100 rpmで前処理を行ったものでした。得られた液相は高速液体クロマトグラフィーによって分析しました。その結果,発酵阻害物質として醋酸,ギ酸が微量計測されました。

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村幸彦