日時 2019年5月16日(木)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部108講義室
プログラム
解説 広島大学大学院工学研究科 教授 松村幸彦
講演 広島大学大学院工学研究科 M1 小川寛太
「水熱反応場からの直接質量分析によるギ酸の確認」
水熱反応場は、水熱前処理、水熱炭化、直接液化、超臨界水ガス化など、各種のバイオマス変換に用いられる高温高圧の水反応場でありますが、その高い温度、圧力のために内部で進行する反応を確認することが容易ではありません。実際には生成物を急冷、減圧して回収、分析を行っていますが、この過程で反応がさらに進行したり、より安定な物質に変化してしまっている可能性も否定できません。しかしながら、現在のところ、サンプリングを行うことができる水熱条件は250 ℃までの低温に限定されています。これに対し、ニードルバルブを細かく制御することでより高温までサンプリングを行う水熱条件を広げられる可能性があります。しかしながら、これまでに250 ℃以上の反応場から直接サンプリングを行った検討例はありません。そこで、本研究では、ニードルバルブを導入し、400 ℃までの高温場からの直接サンプリングを行うことを目的とします。
講演 広島大学大学院統合生命科学研究科 D2 Mojarrad Mohammad
「Shewanella属細菌を用いた低温菌シンプル酵素触媒による3-ヒドロキシプロピオン酸と1,3-プロパンジオールの同時生産」
本研究では低温菌シンプル酵素触媒(PSCat)による3-ヒドロキシプロピオン酸と1,3-プロパンジオールの生産について検討を行いました。DhaB、DhaT、PuuCを発現させた低温菌を用いました。すべてのサンプルは酵素活性を評価する前に45℃、15分の熱処理を行いました。アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を測定したところ、NADH濃度が0.5もしくは1 mMの添加および40℃での反応で活性が見られました。また、DhaTを発現させた株でも同様の結果が得られました。現在、PSCatによる同時変換反応を評価しているところです。
講演:広島大学大学院統合生命科学研究科 助教 田島誉久
「シンプル酵素触媒によるイタコン酸の生産」
シンプル酵素触媒は熱処理により宿主の代謝酵素を排除するとともに基質の膜透過性を向上させて変換酵素による効率的な変換を行う触媒です。このシンプル酵素触媒により、クエン酸からイタコン酸を生産するために中温性の2種類の酵素をShewanella属細菌に発現させ高収率でイタコン酸を生産しました。また、効率的な変換のために触媒の固定化や2種類の酵素を近接化させる取り組みを行っており、それらを含めて紹介します。
司会 広島大学大学院工学研究科 教授 松村幸彦