第75回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第53回広大ACEセミナー)を開催しました

日時 2019年6月13日(木)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部108講義

 プログラム 

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演  広島大学大学院工学研究科  M2  横山 裕生

「微細藻類を用いた油排水処理」
マレーシアでのパームオイル産業は急速に発展していますが、この産業はその生産工程中で油を含んだ排水を大量に生産してしまうことが大きな問題となっています。この油排水を環境に優しく処理する方法が求められています。また、藻類バイオマスは,その特性からこの目的において有効に利用できる可能性があります。しかしながら、これまでに微細藻類を用いて油を取り除くと行った試みの報告はありません。そこで、今回の研究の目的を微細藻類がモデル油排水中の油除去に与える影響の確認としました。微細藻類のC. vulgarisをパーム油と水道水を乳化したモデル油排水中で培養しました。結果として、微細藻類が油排水中の油を除去できる可能性があることが示されました。

 

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科 助教 渡邊 研志

「脂質代謝酵素の機能及び代謝ネットワークに関する研究と脂質発酵生産への応用」
脂質は食品、医薬品、燃料など多様な産業分野で重要な物質群です。特に微生物による油脂発酵は植物、魚、動物など従来の供給源からは大量取得が困難な脂質種の効率的生産が可能です。近年では環境問題などを背景に、バイオマスからの油脂発酵が注目されています。本口演では油糧微生物の脂質生合成反応を触媒する酵素の機能、それらの酵素が形成する代謝ネットワークの理解による生産脂質の多様化や生産性向上について紹介します。  

 

講演 広島大学大学院工学研究科 D3   Rahmat Iman MAINIL

「超臨界水中におけるパーム油工場排水(POME)からの リンの回収」
インドネシアのパーム油生産からの廃液の量は、生産能力が増加するにつれて毎年増加しています。パーム油工場廃水(POME)中のリンは、過剰利用によるリン鉱石の枯渇を考慮すると、重要な潜在的リン資源となり得ます。超臨界水ガス化(SCWG)技術は、POMEをリン回収と共に来る価値あるガスに変換することができます。 SCWGでのPOME変換の動作についてよく理解するために、一連の実験が開発されました。ここでは、25MPaで圧力を制御しながら温度(500〜600℃)および滞留時間(5〜50秒)を変化させることを連続式反応器で用いました。 POME中の有機リンの無機リンへの変換の反応モデルも提案されました。その結果、有機蛍光体を無機リンに変換することができ、反応器内で沈殿が生じました。温度が高いほど速度は速くなりました。反応は一次速度論に従い、モデルは実験データとよく一致することがわかりました。

  

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦