Author Archives: AsanoHiroko

第86回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第70回広大ACEセミナー)を共催しました

■第86回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第70回広大ACEセミナー)を共催しました

(English announcement can be found in the latter half of this notice.)

 

日時 2020年7月13日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

 

プログラム

 

解説 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M1 宮迫 信之介

「水熱条件下における有機体リンの挙動」

 

水熱処理におけるホスファチジルコリンの無機化特性を確認することを目的に実験を行った。本研究においては,廃棄物系バイオマスに属する下水汚泥に主に含まれる有機体リンであるホスファチジルコリンを水に溶かし,1.0 wt%したものを試料として実験を行った。実験装置はSUS316製1/8インチ管および1/16インチ管から構成される連続式反応器を用い,滞留時間と反応時間の条件を変化させることで実験を行った。

 

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M1 田上 長

「水熱条件下におけるグリセルアルデヒドの反応挙動」

 

水熱処理は、バイオマスの前処理や有用物質の獲得など多様な用途を持つ点、水のみを用い環境に優しい方法である点などから注目を集めている。しかし、温度や圧力が変化すると水熱反応場で起こる反応や促進される反応も異なるため、温度や圧力が反応にどのような影響をもたらすかを知ることは重要となる。本研究ではグリセルアルデヒドを温度300 ℃、圧力15, 20, 25 MPaで1~40 s反応させて得られた気体生成物と液体生成物の分析を行い、反応速度定数を決定した。

 

 

講演 広島大学大学院工学研究科 M2 小川寛太

「水熱反応場の直接質量分析によるギ酸の確認」

 

水熱反応場は、水熱前処理、水熱炭化、直接液化、超臨界水ガス化など、各種のバイオマス変換に用いられる高温高圧の水反応場であるが、その高い温度、圧力のために内部で進行する反応を確認することが容易ではない。実際には生成物を急冷、減圧して回収、分析を行っているが、この過程で反応がさらに進行したり、より安定な物質に変化してしまっている可能性も否定できない。しかしながら、現在のところ、サンプリングを行うことができる水熱条件は250 ℃までの低温に限定されている。これに対し、ニードルバルブを細かく制御することでより高温までサンプリングを行う水熱条件を広げられる可能性がある。しかしながら、これまでに250 ℃以上の反応場から直接サンプリングを行った検討例はない。そこで、本研究では、ニードルバルブを導入し、400 ℃までの高温場からの直接サンプリングを行うことを目的とする。

 

 

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科 M1 脇 滉

「河口底泥からの海洋性キチン分解菌叢の探索とVFAs生産」

 

キチンは、n-アセチルグルコサミンからなる多糖類であり、自然界においてセルロースに次ぐ二番目に豊富なバイオマスであることから、産業利用の可能性を持つ有望な再生可能資源である。しかし、不溶性なうえ、非常に硬度な構造を持つ難分解性ポリマーであるため、大腸菌や酵母などの一般的に工業利用されている微生物では分解ができない。そこで本研究では、効率的にキチンを分解し揮発性脂肪酸(VFAs)生産する海洋性キチン分解菌叢の探索と、その菌叢の性質についての検討を行った。

 

司会 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦

第85回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第69回広大ACEセミナー)を共催しました。

■第85回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第 69回広大ACEセミナー)を共催しました。

 

日時 2020年6月15日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

 

プログラム

解説 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M1 片山 智

「グルコースの水熱処理によるカルボン酸の生成」

石油代替燃料をバイオマスから得ることは持続可能な社会の実現のために不可欠なことである. 微生物を用いることで高品質な油を回収することが期待できる. その微生物が資化しやすい基質の中でカルボン酸はバイオマス技術を用いて比較的容易に生産できる可能性がある. 本研究ではバイオマスのモデル化合物としてグルコースを用いて水熱処理を行い, カルボン酸の生成特性について確認した.

 

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M1 伊藤 嘉泰

「高濃度バイオマスモデル化合物を用いた超臨界水ガス化のチャー生成抑制検討」

 

超臨界水ガス化ではチャーやタールといった物質がガス化と共に生成され、反応器を閉塞させるという問題があり、これらの生成の抑制を検討することが求められている。本研究では、リグノセルロース系バイオマスのモデル化合物の超臨界水ガス化を行った。原料には2.5wt%から7.5wt%の濃度のグルコース、キシロース、グアヤコールの混合液を用い、ガス化によって得られた固体・液体・気体生成物のそれぞれを分析した。

 

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M2 吉岡 大視

「竹のメタノール前処理に関する研究」

現 在、化石燃料から発生される二酸化炭素などによって地球温暖化が問題となっている。そのため注目が集まっているバイオマス資源の一つである竹にこの研究で は着目した。この竹をバイオマス資源として利用することが可能となれば大きなエネルギーとなる。しかしながら竹をそのまま燃焼させてしまうと竹に含まれる カリウムからクリンカーが発生してしまう。そこで、クリンカーを発生させないために竹に含まれているカリウムを取り除く必要がある。

 

 

講演 広島大学大学院先進理工系科学研究科 M2 廣瀬 佑太

「ペレットストーブのすす低減に関する研究」

煙の発生を抑制することはペレットストーブの普及拡大の上で重要である. 煙は空気中にすすの微粒子が浮遊したものである. 気体中の浮遊粒子を除去するには, 静電集塵機が多く用いられるが, 産業規模でない家庭用ペレットストーブでは経済性などの観点で問題がある. これに対して, より安価な微粒子除去法として, スプレー噴霧が考えられる. この場合, 単に水を噴霧するだけで微粒子が除去できる可能性があり, 安価かつ高効率な煙抑制技術となる可能性がある. しかしながら, ペレットストーブにスプレーを加えたシステムの検討報告例がない.そこで本研究では, ペレットストーブの排気ガスに液体を噴霧した際のすすの除去特性を確認することを目的とする.

 

司会 広島大学大学院先進理工系科学研究科  教授 松村 幸彦

 

第84回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第68回広大ACEセミナー)は中止になりました。

 来る 4/20(月)に開催を予定しておりました上記セミナーですが、会場確 保困難のため、中止とさせていただきます。
 なお、次回は 5/18(月)に予定しておりますので、ご参集よろしくお願い いたします。会場など決まり次第、追って連絡させていただきます。

次回予定
 日時 2020518日(月)16201750

広島大学バイオマスプロジェクト研究センター 

              センター長 松村幸彦

第81回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第 64回広大ACEセミナー)を共催しました

第81回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第64回広大ACEセミナー)を共催しました。

 

日時 2020年1月20日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

 

 

プログラム

 

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演 広島大学大学院工学研究科 MI  Ali MOHAMMED

「連続流通式反応器における超臨界水条件下での多層カーボンナノチューブ触媒の挙動」

炭素触媒は、バイオマスにおける重要な役割のため、さまざまなアプローチで多くの研究者の注目を集めています。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)も、利用可能なバイオマスの炭素触媒です。この研究では、 MWCNTを原料として使用し、実験室規模の連続流通式反応器を使用して超臨界水中でガス化しました。炭素ガス化率、ガス組成、液体生成物および固体生成物中の全有機炭素を含むMWCNTの挙動について説明しました。

 

講演 広島大学大学院工学研究科 M2  横山 裕生

「5s以下でのグリシンの超臨界水ガス化挙動」

超臨界水ガス化はバイオマスを素早く、ほぼ完全に変換することができるため注目されています。亜臨界状態でのアミノ酸の分解についての報告はいくつかあり、イオン反応が主に起こっているとの見解が得られており、アミノ酸を含む窒素化合物を超臨界水ガス化する際にその窒素挙動を知ることは重要です。超臨界条件下でアミノ酸はとても早く分解することが知られていますが、超臨界条件下でのグリシンの分解についての研究は、そのほとんどが5s以内に行われるにも関わらず、これまでに5s以上の滞留時間でしか実験が行われていません。そこで、 5s以内でのグリシンの超臨界水ガス化実験を行いました。実験は管式流通反応器で25MPaで行い、グリシンをタンパク質のモデル物質として使用、グリシン分解速度定数を決定しました。

 

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科食品生命科学プログラム 講師  平山 真

「藻類由来糖結合性タンパク質「レクチン」の構造、機能および応用について-新たな診断ツールおよび医薬素材として-」

我々のグループは藻類から70種を超える糖結合性タンパク質「レクチン」を単離し、その分子構造や糖鎖結合性を明らかにしてきました。藻類レクチンには、腫瘍糖鎖マーカーを特異的に認識するものや、エンベロープに糖鎖を有するHIⅤやインフルエンザウイルスに対して強い抗ウイルス活性を示すものも見出されており、その特異な糖鎖結合能から診断ツールや医薬としての応用が期待されています。本セミナーでは、藻類レクチンの構造および機能的特徴を概説し、これらの高度利用について紹介したいと思います。

 

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

第80回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第 60回広大ACEセミナー)を共催しました

第80回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第 60回広大ACEセミナー)を共催しました。

(English announcement can be found in the latter half of this notice.)

日時 2019年12月16日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

プログラム

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演 広島大学大学院工学研究科  M1   小川 寛太

「磁気触媒を用いた高温高圧水中での5-ヒドロキシメチルフルフラールの生産」

バイオマスからの物質生産は重要であり、5-HMFは重要なプラットフォームとなる化学物質の一つです。その物質は高温高圧水の中で糖から簡単に生産されます。しかし、触媒の回収は挑戦でした。その触媒回収を改良するために、磁性をもつ触媒が興味をそそります。しかし、その影響に関して研究を行った者はいませんでした。そこで、この研究では、微細磁気炭素触媒を用いて、高温高圧水中で5-HMFを生産することに成功しました。

 

講演 広島大学大学院工学研究科  M1  吉岡 大視

「微細藻類バイオディーゼル生産における二酸化炭素、エネルギーサイクル」

微細藻類はバイオディーゼルになるバイオマスの一つとして注目されています。しかしながら現実として実現可能であるのか議論されていません。そこでこの研究では微細藻類からバイオディーゼル燃料を生産する際の触媒法、in-situ法、超臨界法を計算によってエネルギー効率と二酸化炭素の排出量を求め比較しました。

 

講演 広島大学大学院工学研究科  M2   藤原 芳樹

「水熱処理されたアデノシン3リン酸からのリン酸カルシウムの沈殿回収」

アデノシン3リン酸(ATP)は350℃, 25MPa,滞留時間20sの条件下、SS316のステンレス管(i.d. 2.17 mm, o.d. 3.18 mm, and length 0.27 m)の中で処理された。反応器内に硝酸カルシウムを加え、ATPから分解し得られたリン酸イオンと反応させリン酸カルシウムを沈殿させた。生成された沈殿物の回収は、反応器出口付近に設置した2μmのステンレスフィルターを用いて試みたがほとんどの沈殿物を回収することができなかった。そのため、本実験では生成した沈殿物の生成箇所について調査した。

 

講演 広島大学大学院工学研究科    M1 廣瀬 佑太

「微細藻類の2段階水熱処理の可能性について」

地球温暖化や化石燃料の枯渇などの問題から、バイオマス燃料を有効利用することの重要性が高まっています。これまで微細藻類を水熟炭化処理し、水熟単を得る研究は行われてきましたが、得られるものがこれだけでは不十分でした。そこで、本研究では微細藻類を水熱抽出と水熟炭化の二段階処理することで より多くの物質を得ることを目指しております。本研究では温度を変えることにより、得られる物質ノにどのように影響するかの確認を行いました。

 

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

第79回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第59 回広大ACEセミナー)を開催しました。

第79回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第59 回広大ACEセミナー)を開催しました。

日時 2019年11月18日(月)16:20~17:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

 

プログラム

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村幸彦

 

講演 広島大学大学院工学研究科 外国人客員研究員 Noah Luciano TAUFER

「肥料の水熱炭化と液体生成物の超臨界水ガス化に関する実験的調査」

 

現在,世界的に再生可能エネルギーを発見し活用するニーズが高まっています。気候変動は世界的に直面している解決すべき問題です。この理由からバイオマス,風力,水力はエネルギー市場において大切な足がかりとなっており,大衆の合意や国からの助成金を得られています。このうち,バイオマスは一番広く広まっているだけでなくすでに石炭,石油,天然ガスに次ぐ4番目に使用されているエネルギー源です。しかしながら,古典的な熱化学処理によって必ずしも有効に活用されるとも限りません。実際,多くのバイオマスは高含水率であるため,適切な方法で処理する必要があります。水熱処理は含水性バイオマスを処理するのに一番効果的な解決策です。この研究では高含水率という特徴を持つ牛糞肥料の嫌気性消化残渣に対する水熱炭化(HTC)の効果を明らかにしました。水熱炭化は温度180, 220, 250 ˚C,滞留時間3 h,自生圧力下で行われました。主要生成物であるハイドロチャー(固体)や液体サンプルは抽出,分析をしました。また,廃棄物を最小にするためと水素を豊富に含む有用なガス生成をするために,次のステップとして液相の超臨界水ガス化を行ないました。この処理には連続式流通反応器を使用し,温度600, 550, 500 ˚Cで滞留時間は最適滞留時間を確認するため,変化させて行ないました。この実験で得られた固体,液体,ガスサンプルについて回収し分析を行ないました。

 

 

講演 広島大学大学院工学研究科  M2   横山 裕生

「微小時間でのグリシンの超臨界水ガス化における窒素挙動」

超臨界水ガス化はバイオマスを素早く,ほぼ完全に変換することができるため注目されています。亜臨界状態でのアミノ酸の分解についての報告はいくつかあり,イオン反応が主に起こっているとの見解が得られています。その一方で,超臨界水ガス化によるグリシンの分解はそのほとんどが5 s以内に行われるにも関わらず,これまでに5 s以内で実験が行われた報告はありません。そのため,私たちは5 s以内でのグリシンの超臨界水ガス化実験を行いました。実験は管式流通反応器で25 MPaで行い,グリシンをタンパク質のモデル物質として使用しました。

 

講演 広島大学大学院工学研究科  D3   Rahmat Iman MAINIL

「パーム油工場廃水の超臨界水ガス化に及ぼす加熱速度の影響」

パーム油工場廃水(POME)は、パーム油生産からの問題のある廃棄物です。適切な管理が行われないと、深刻な汚染を引き起こす可能性があります。バイオマス廃棄物をエネルギー源として利用するために採用されているいくつかの技術の中で、超臨界水ガス化(SCWG)が最も有望な候補です。 SCWGは、高温の圧縮水でバイオマスをガス化する技術です。ガス化は迅速であり、高い炭素ガス化効率(CGE)を達成できます。 CGEは、原料の加熱速度の影響を受けることが知られています。ただし、POMEの変換に対する加熱速度の影響はまだ理解されていません。この効果を研究するために、POMEを600°Cの一定温度で25 MPaの制御された圧力の連続フロー反応器で処理し、さまざまな予熱器長(1、2、4 m)で処理しました。結果を比較することにより、CGEおよびリン転化率に対する加熱速度の影響が明らかになりました。

 

講演 広島大学大学院工学研究科    D3   Puji Rahmawati NURCAHYANI

「微細藻類Chlorella vulgarisのリン消費とバイオマス生産性に対する栄養濃度の影響」

微細藻類は、陸上植物に比べて速く成長する光合成バイオマスです。成長期には、これらの緑藻は窒素、リン、カリウムを主成分とする栄養素を必要とします。しかし、これらの栄養素の消費行動はよく報告されていません。そのため、この実験では、バイオマスを成長させるための緑藻類Chlorella vulgarisのリンの取り込みを調査するよう設定しました。培養は、900 mlの容量のバッチ式反応器で行いました。室温は20 oCに制御され、通気は3 ml / minの流量でリアクターに供給され、光強度は24時間の光周期で3.42 µmoles / m2 / sでした。使用した培地濃度は、10、50、100、200、および500 ppmでした。培養期間中、微細藻類のサンプルは3日ごとに1回採取され、40日目に停止されました。サンプルあたりの細胞重量を分析しました。それ以外は、モリブデンブルー法を用いて培地中のリン含有量を分析しました。その結果、100 ppmの栄養濃度で最大のバイオマス生産性が得られましたが、この濃度でのリンの消費は他の濃度よりも速くなりました。さらに、高濃度のリンを使用すると、微細藻類細胞の成長が阻害される可能性があります。

 

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

第78回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第58 回広大ACEセミナー)を開催しました

■第78回広島大学バイオマスイブニングセミナー(58 回広大ACEセミナー)が開催されました。

日時 2019107日(月)16:2017:50

会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室
https://www.hiroshima-u.ac.jp/eng/access/lectureroom
https://www.hiroshima-u.ac.jp/eng/access/building
https://www.hiroshima-u.ac.jp/access/higashihiroshima

 

 プログラム 

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

講演  広島大学大学院工学研究科   D3      Puji Rahmawati NURCAHYANI

「超臨界ガス化における微細藻類分解の反応速度」
バイオマスはエネルギーを得るための再生可能資源です。その中でも、単細胞で光合成を行うバイオマスである微細藻類がバイオオイルのエネルギー源として紹介されました。しかし、超臨界水ガス化条件下でのガス化エネルギーを作るための可能性は明確にする必要があります。そこで、我々は連続式反応器を用いた600 oC, 25 MPaでの水中での微細藻類の分解について調査しました。その結果は、気体生成物だけでなく液体生成物が主な生成物であることを示しました。また、チャーやタールも同様に発見しました。そこで、我々は起こっている反応を、二次反応として表わされるタール状の物質を除いた一次反応として想定したモデルを構築しました。また、そのモデルのそれぞれの反応に対する反応速度も決定しました。

 

  

講演  広島大学工学研究科  B4       伊藤 嘉泰

「木質バイオマスの高濃度モデル化合物での超臨界水ガス化」
バイオマスの使用を検討し、木質バイオマスのモデル化合物としてグルコース、キシロース、グアヤコールの混合水溶液を使用して、超臨界水ガス化の影響を調査しました。以前の研究では、グルコース、キシロース、およびグアヤコールの濃度は0.1 wt%で行われました。しかし、0.1wt%では濃度が低く実用性に欠けていました。そのため、本研究では、濃度が5wt%の混合水溶液を用いて、超臨界水ガス化の影響を研究しています。

 

 

 講演 広島大学大学院工学研究科  M1    吉岡 大視

「竹におけるメタノール処理に関する研究」
現在、化石燃料から発生される二酸化炭素などによって地球温暖化が問題となっています。そのため注目が集まっているバイオマス資源の一つである竹にこの研究では着目しました。この竹をバイオマス資源として利用することが可能となれば大きなエネルギーとなります。しかしながら竹をそのまま燃焼させてしまうと竹に含まれるカリウムからクリンカーが発生してしまいます。そこで、クリンカーを発生させないために竹に含まれているカリウムを取り除く必要があります。

 

  

講演  広島大学大学院工学研究科     M1       廣瀬 佑太

「ペレットストーブの改善に関する研究」
本研究では、再生可能エネルギー、その中でもバイオマスエネルギーの木質ペレット燃料に着目し、この燃料を利用した暖房器具であるペレットストーブに着目しました。ペレットストーブは一般的に家庭で使用されるエアコンや石油ストーブと比較して再生可能エネルギーである木質ペレット燃料を利用しているという点は良いですが、使用していく上で様々な問題点や改善点を持っています。まず、ペレットストーブから排出される排気ガスは多くの熱を持ったまま排気管を通して屋外へと排出されており、ペレットストーブのエネルギー効率低下の大きな原因となっています。また、排気ガスにはススや健康に害を及ぼす可能性のある気体が含まれており、住宅街などで使用するとなると使用者はもちろんのこと、近隣住民へ害を及ぼす可能性があるといった改善すべき点があります。そこで本研究では、ペレットストーブの物質収支やエネルギー収支をもとめ、現在熱エネルギーがどのような原因で無駄となっているのかを確認しました。また、ペレットストーブの排気ガスに含まれるすすを回収し、どのようなすすがどれほど発生しているのかの調査をし、改善策の提案を行いました。 

 

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

なお、18:00より意見交換会(参加費 800円)を開催します。ご都合の付く方はこちらにもご参加下さい。

メカニカルシステムセミナー(第57回広大ACEセミナー)を共催しました

講師:(氏名・所属)Velayutham MURUGESAN, Annamalai University (India) 副総長

題目:Nano semiconducting Materials for Wastewater Remediation

日時:9/20, 11:00-12:00

場所: 工学部A3-131

要旨:

Contamination of water resources by man-made industrial chemicals and pesticides interfere with the normal functioning of human and wildlife endocrine systems. A wide range of substances including pesticides, surfactants, plasticizers and organohalogens are collectively referred to as endocrine disruptors. The removal of endocrine disrupting chemicals (EDCs) from wastewater is a complex problem, and this cannot be resolved by conventional treatment methods. Photocatalytic degradation is a promising technique for mineralisation of various organic pollutants in wastewater including EDCs. Among the semiconductors employed, bulk TiO2 is a good photocatalyst because of its high photosensitivity, non-toxicity, easy availability, strong oxidising power and long-term stability. Several attempts have been made to improve the efficiency of bulk TiO2. Nanocrystalline TiO2 is expected to offer better solution as it exhibits unique properties such as quantum size effect, high surface area, tunable surface properties and short interface migration distances, all of which enhance photocatalytic performance.

This presentation highlights the preparation, characterisation and photocatalytic performance of nano TiO2, La3+, Gd3+ and Zr4+ doped nano TiO2. The materials were prepared by sol-gel process and characterised using XRD, BET, FT-IR, TGA, UV-Vis, SEM, XPS and TEM. The band gap values of doped nano TiO2 were higher than the pure nano TiO2. The entry of dopant ion into the lattice of nano TiO2 created charge compensating anion vacancy in the lattice points of nano TiO2 which enhanced adsorption of pollutants. Further, the dopant ion like Zr4+ with ionic radius (0.79 Å) larger than Ti4+(0.75 Å) but smaller than O2-(1.31 Å) can either isomorphously substituted or interstitially introduced into the matrix of nano TiO2, thus producing oxygen vacancies which accelerate the transition and nanocrystallite growth of anatase form of nano TiO2. The photocatalytic activity in the degradation of selected EDCs like monocrotophos, bisphenol-A, carbofuran and 2,4,6-trichlorophenol were found to be higher for doped nano TiO2 than  pure nano TiO2 and commercial TiO2  (Degussa P-25). The influence of various parameters such as initial concentration of pollutants, catalyst loading, pH and light intensity were optimised for maximum degradation efficiency. The detailed results will be discussed in this presentation.

シンポジウム 「基礎からわかる超臨界水ガス化の最先端」を共催しました

2019  09/12 広島 シンポジウム「基礎からわかる超臨界水ガス化の最先端」■

主催: 中国地域バイオマス利用研究会
    広島大学バイオマスプロジェクト研究センター
    広島大学エネルギー超高度利用研究拠点(広大ACE 

日時:2019年 9月 12日(木) 13:00~
場所: サテライトキャンパスひろしま 5階  504講義室 (広島県民文化センター5階)
広島県広島市中区大手町1丁目5−3 

司会 松村 幸彦(広島大学) 

  松村 幸彦(広島大学)
超臨界水とは
超臨界水の定義と物性について説明。

   松村 幸彦(広島大学)
超臨界水ガス化の基礎とこれまでの研究
超臨界水ガス化の、今回のNEDO事業を始めるまでの知見を整理して紹介。

   中島 和希(復建調査設計)
超臨界水ガス化の市場性
超臨界水ガス化の経済性について検討を行った結果の報告。

   野口 琢史(東洋高圧)
超臨界水ガス化の装置設計
超臨界水ガス化の装置の設計の紹介。 

  松村 幸彦(広島大学)
超臨界水ガス化の反応と運転
超臨界水ガス化におけるタール発生の抑制を検討。

 以上です。NEDOのプロジェクトが終了したことを踏まえて、超臨界水ガス化の基礎から、最新の研究開発状況までを紹介しました。
より詳細なコメントは中国地域バイオマス利用研究会メンバーに配信しています。よかったら参加をご検討ください。

https://home.hiroshima-u.ac.jp/~bprc/chu-goku/kennkyukai.html



連絡先:〒739-8527広島県東広島市鏡山1-4-1
        広島大学大学院工学研究科機械システム工学専攻内
    広島大学バイオマスプロジェクト研究センター
        中国地域バイオマス利用研究会
TELFAX:082-424-5762
Mail:bprc@hiroshima-u.ac.jp

第77回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第56 回広大ACEセミナー)を開催しました

■第77回広島大学バイオマスイブニングセミナー(56回広大ACEセミナー)が開催されました

日時 2019年9月9日(月)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室 

プログラム 

解説 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦 

講演 広島大学大学院工学研究科 D3 Apip AMRULLAH    

「リン回収を伴う下水汚泥の超臨界水ガス化」

今日、石炭、石油、天然ガスに次いで4番目に大きいエネルギー資源であるバイオマスに関する研究は、気候変動を緩和するための努力のために多大な注目を集めています。最も有望なバイオマス資源の1つは、低コストの材料で大量に入手可能な下水汚泥です。また、下水汚泥には、窒素、リン以外に、タンパク質、脂質、炭水化物、リグニンなどの有機物が多く含まれています。そして、燃焼、熱分解、および超臨界水ガス化(SCWG)を介して下水汚泥を有用な二次エネルギーに変換するための様々な方法が試みられてきました。しかしながら、下水汚泥は高い含水量(約85重量%)を有し、燃焼および熱分解が適用されるときには高い乾燥コストがかかります。一方、SCWGはバイオマスの予備乾燥が不要であり、数分以内に水中でガス化反応が起こるため、下水汚泥などの含水率の高いバイオマスを含むバイオマスの変換に適しています。 現在、SCWGを用いた下水汚泥の二次エネルギーへの転換に関する研究は様々な機関で行われていますが、連続反応器を用いた下水汚泥のSCWGに対する反応速度論の詳細な解明と同様に、リン回収と組み合わせたガス発生に関する包括的な研究はありません。下水汚泥を連続流通反応器を用いて超臨界条件下でガス化しました。反応器は、長さ12m、内径2.17mmのSS316鋼管製でした。反応圧力を25MPaに固定しながら、温度(500〜600℃)および滞留時間(5〜60秒)を変えることによって実験を行いました。その結果、50秒後に600°C0.73という高い炭素ガス化効率(CGE)が達成されました。また、有機リンは10秒という短い滞留時間で急速に無機リンに変換されました。下水汚泥には多量のリンが含まれており、亜臨界および超臨界水ガス化がリンを後に残す可能性があることを考慮すると、水熱条件下でのリンの挙動およびその速度論に関する研究は非常に重要です。 25MPaの一定圧力で連続反応器を使用して、水熱条件下での下水汚泥ガス化を300〜600℃の温度範囲および5〜30秒の反応時間で実施しました。亜臨界条件下では、有機リンの収率は減少しますが、無機リンの収率は増加します。明らかに、有機リンは水熱条件下で無機リンに変換されます。

最後に、下水汚泥の水熱処理中のセル構造破壊とその動力学を研究しました。水熱処理は高温を必要とし、それは下水汚泥の形態学的構造に影響するであろうという事実のためです。これは、下水汚泥の形態構造ならびに細胞内の有機化合物の放出およびその速度論的挙動に対する様々な温度での水熱処理の効果を調査する最初の包括的な研究です。下水汚泥の総有機物含有量(TOC)と形態に及ぼす水熱温度(130-250°C)の影響を5MPa10分の滞留時間で調べました。 HTは下水汚泥セル構造を損傷し、それによってセル内容物を放出し、その結果液相中のTOCを増加させます。アレニウス方程式を用いることによって、下水汚泥細胞の分解のための事前指数因子と活性化エネルギーを初めて首尾よく決定しました。 

  

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科 D2    羅宮 臨風   

「低温菌Shewanella livingstonesis Ac10 における熱透過全細胞触媒の開発」 

工業的に使用される精製酵素と比較して、全細胞生体触媒は、容易な調製および補酵素の回収の容易さを含む多数の利点を有します。しかしながら、細胞膜は時々基質の細胞質内拡散を妨げ、不十分な生体内変換効率をもたらします。本研究は、Shewanella livingstonensis Ac10を用いて、低温菌における生体触媒を作成することを目的としました。低温菌の細胞膜は非常に柔軟であり、その透過性は中程度の温度での熱処理によって向上することができます。低温菌生体触媒の効率は、45℃で15分間の熱処理によって向上し、生産性は9倍以上に向上しました。  

 

講演 広島大学大学院工学研究科  D3 Rahmat Iman MAINIL

「超臨界水ガス化による椰子油ミルミル廃液(POME)からのリンの連続生産」 

インドネシアでの粗パーム油の生産量の増加は、廃液の深刻な汚染を伴います。適切な処理が行われないと、パーム油工場廃水(POME)と呼ばれるこの廃棄物は環境に有害です。従来、POMEをエネルギー源および貴重な栄養素として利用するために生化学的技術が使用されていました。しかしながら、この方法は大きな反応面積と長い反応時間を必要とします。超臨界水ガス化(SCWG)は、この問題を克服するための潜在的な技術です。ここでは、生のPOMEに含まれる有機物から無機リンを生成するためにSCWGが使用されました。この研究では連続反応器を採用し、SCWG中のPOMEからのリン変換の挙動を明らかにするために一連の実験を開発しました。液相中で有機燐が無機燐に転化され、反応器中に無機燐の沈殿がいくらか観察されました。この転化率は温度と共に増加しました。この挙動の議論は、数学モデルと実験結果の比較に基づいて開発されました。 

 

司会 広島大学大学院工学研究科  教授 松村 幸彦

 

第76回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第55回広大ACEセミナー)を開催しました

■第76回広島大学バイオマスイブニングセミナー(55回広大ACEセミナー)が開催されました

日時 2019年7月18日(木)16:20~17:50
会場 広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

プログラム

解説 広島大学大学院工学研究科 教授 松村 幸彦

講演  広島大学大学院統合生命科学研究科 准教授 岡村 好子

Nitratireductor sp. OM-1を用いた廃液からの油脂生産
デンマーク工科大学との研究成果」

Nitratireductor sp. OM-1は、有機酸を短鎖エステルに変換することができる細菌です。廃液中の雑多な有機酸を好んで資化するため、廃液からの油脂生産を検討しましたが、廃液中のアンモニウムイオンに短鎖エステル合成を阻害される性質も見いだされました。デンマーク工科大学のAngekidaki教授とZhan博士は廃液中のアンモニウムを電気化学リアクターで除去するノウハウがあり、2週間の日程で共同研究の打ち合わせをしてきました。その成果について報告します。

 

 

講演 広島大学大学院統合生命科学研究科 教授 青井 議輝

「培養できない微生物とは何か、どうしたら培養できるのか?」

環境中のほとんどの微生物は培養困難であることが知られており、未解明・未利用のまま広大なフロンティアが残されています。そこでそれらを培養可能にする手法開発や増殖制御メカニズムの解明は「環境微生物から得られる情報の質、量」、さらに「バイオリソースとしての可能性」などを飛躍的に向上させるブレークスルーになると考えられます。本講演では、新規分離培養手法の開発および、培養できない理由の解明について発表します。

 

司会 広島大学大学院工学研究科 教授 松村 幸彦